
今回は脳神経内科です。
身体診察がものをいう内科ですね。僕は脳神経内科医ではありませんが、ちゃんと自前の打腱器を持ってます!
初期研修期間もきちんと神経学所見をきちんととってました。今は正直かなり忘れてきていますが、それでもコンサルトする時などは自分なりに病巣などを考えてコンサルトするようにしてますよ。
『神経内科 ケース・スタディー』


古く薄い本ですが今でもその魅力は全く色褪せない超良書です。
この本を読んで脳神経内科の美しさに惹かれ、脳神経内科医になった人がいるとかいないとか…
副題に「病変部位決定の仕方」とあるように、病巣がどこか、を主眼に置かれていますので治療や病気の細かい話は出てこないです。
神経疾患の診断を3段階診断法として解剖学的診断・病因的診断・臨床診断をあげ、正しい診断はこの全てが正解のこととし、病因は症状の完成に至るまでの速度で決定すると述べられてます。
そして身体初見を主にして病巣を特定する練習をケースを通じて実践していきます。
病歴と身体診察だけで特に特殊な検査もなく概ねの疾患を特定していく様はまさに内科学ですね。
そして、上記プロセスは何も神経疾患だけに限ったことではありません。内科学全てに共通する基礎です。
そいういう意味でも内科医にお勧めです。
この本を通じて脳神経内科、そして内科学の美しさに触れてみてください。
『みんなの脳神経内科』


「わかりやすいは正義!」とありますが、本当にわかりやすく書かれてあります。
そして、内科医として脳神経内科分野で最低限知っておくべき部分に限定してあります。
なので大学病院で脳神経内科をローテートしていると、多分この本では担当している人の疾患が載っていないことの方が多いはずです。
が、「内科医」が知っておくべき最低限は上記で十分だと僕も思います。
病棟での指示を書いてあるのも助かりますね。初めてローテートすると当たり前のことがわからなかったり、患者さんを同じで今後どなっていくのかイマイチピンとこないので。
本の薄さとしても苦にならず読み切れるもの良いですね。
初期研修医やクリニック勤務の先生にも丁度いい本ではないでしょうか。
『レジデントのための神経診療』


脳神経内科の本をどれか一冊しか買わない(買えない)のであればこの本を薦めます。
著者はジェネラリストマインドを持たれている杉田先生ですね。レジデント向けの内科本も出版されてます。
帯にもあるように豊富なイラストでわかりやすさをメインに書かれてあります。
各論も扱っていますが、やはりジェネラリストの先生らしく神経診察や病巣特定などの総論がメインです。
実際に総論がきちんとできていれば、あとは細かい各論は自分でつめていけますからね。
脳症についての捉え方・進め方は本当にためになりました。
各論としても扱っている疾患はcommon diseasesがメインで、正直ここまでしっかりとできていればコンサルトも自信を持ってできるはずです。
是非この本を共にしてローテートしてください。
自信を持ってお薦めします。
『脳神経内科』


体裁としては完全に教科書です。
が、単著(凄いですよね…)なのでよくある日本の教科書みたいな感じでありません。
分厚くて尻込みしてしましそうですが、意外と読みやすいです。
ちなみに紙質が分厚いので、ちょっと開きにくい…
疾患も大概のことが載ってあり、これまでの紹介した本よりも疾患各論の色が強めです。
内容は文句のつけようがありません(つけられるような身分でもないですが…)が、内科医一般向けとしてはオーバーな印象のため参考程度の紹介としてます。
値段も少し張るので、おそらくこの本は軽い気持ちでは買いにくいでしょう。
脳神経内科を専攻すると決めている内科専攻医の先生にはドンピシャな本だと思ってます(感染症内科でいう青木本みたいな感じでしょうか)。