
今回は循環器です。
内科の王道(?)ですね。ER型の当直であれば1晩で1回ぐらいは循環器系のものがくるでしょう。
循環器内科医であれば花形の虚血性疾患も一般内科医であればあんまりやることはありません。心電図でST上昇があればコンサルトするだけです。
都会であれば心不全も循環器内科医が見るので一般内科医もあんまりみなくなります。
それでもダイナミックな疾患であり急激に体調が変わってしまいます。
循環器医もすぐに到着するとは限りませんし、最低ラインは対応できるようにしましょう!
ICUと同じく生理学が役に立つので、ハマる人にはハマる分野!?
『循環器治療薬ファイル』
村川裕二先生の単著の本です。
“治療薬” ファイルとなってますが、内容は病態からのアプローチと薬物からのアプローチの2パターンになってます。
単著であることがしっかりと生きており、村川先生のオピニオンもしっかりと書かれてます。ズバリと書いてあり助かります。
昨今の流れではエビデンスが足りないと言われそうですが、これが教科書ではない強みですよね。
例えばACSでのモルヒネの使い方のところに
この量(2mgのモルヒネ)での鎮痛はもの足りない。呼吸抑制はめったに起きないが、慣れていないなら少なめから投与。5分後に上記のモルヒネ2ml(2mg)を追加。その後は症状と呼吸状態をみながら漸増。(p. 9, 15-17行)
とありますが、どうです?結構参考になりません?(そうでもない?)
また、項目毎の分量も必要度に合わせており、私見ですが一般内科医にとって必要十分な量の記載だと思います。
また、薬剤の初期投与量などが記載されてあるのも何気に役立ちます(頻回に使わない薬だと薬剤名のみの記載だと、どう使えばいいか結構悩みますよね…)
一般内科医向けであれば、おそらくこの本1冊をしっかりと勉強するだけで十分すぎるでしょう。
ローテーターに何か1冊推奨するならこの本をおします。


『不整脈治療薬ファイル』
『循環器治療薬ファイル』の姉妹本です。
著者も同じで、本の作りもほぼ同じです。
『循環器治療薬ファイル』にも心房細動などを含めて不整脈のことは載ってます。
「じゃあ、いらないんじゃないの?」と言われそうなので参考の方にしました。
僕が不整脈が好きなのと、著者の村川裕二先生が不整脈の方が専門なので『循環器治療薬ファイル』が好きになった人や循環器内科を目指す可能性がある人はこちらもどうぞ。
『レジデントのための循環器教室』
全18例を会話形式で進めていく症例ベースの本です。
特にこの本が出版されたあたりはこの会話形式の症例ベースの本が流行っていた印象でそれに乗っかった形だと思います。
扱っているのは概ね3つの項目で、「急性冠症候群・不整脈・心不全」です。王道の項目ですね。
こういった本のあるあるで、登場人物の若手指導者が優秀すぎるのですがそこは気にせず。
内容は一般内科医向けには思ったよりも難し目です。
実際にカテーテルの処置に入ったことがないと読んでいてもおそらくピンと来にくいです。
流れなどがわかって楽しいですし為に成ることも多いですが、一般内科医向けというよりやや循環器内科レジデント向けの本ですね。
『循環器治療薬ファイル』よりは人を選びますが、循環器内科が好きな内科医は一度読んでみてはどうでしょう。


『循環器救急の真髄教えます』『補助循環の極意教えます』
循環器内科レジデントのそこのあなた、黙って2冊とも購入しましょう。
ERやICUレジデントのそこのあなた、とりあえず2冊とも購入しましょう。
内科医を自負する循環器が好きなそこのあなた、『循環器救急の真髄教えます』は購入しましょう。
ということで、このブログを読んだ皆さん、購入してください。笑
それぐらいいい本です。
2冊とも同じ著者の単著です。
イメージは救急の『救急外来 ただいま診断中!』の循環器内科バージョンと思っていただければ大丈夫です。
同じ中外医学社の本であり、作りも似てます。
内容もストロングスタイルで結構分量があります。
が、きちんと読み切れる分量です。
病態の理解と現在のエビデンスの整理を行なった上で、それらを臨床実地へ如何に落とし込むか、その作業の架け橋になることを願って執筆しました。(初版序文より)
かっこいいですね。その想いは十分にこの本に反映されてます。
扱っているものも循環器内科医であれば毎日出くわすものばかりであり、別にイタズラに難しいものを扱っている訳でもありません。
循環器内科医だと必須本じゃないですかね?
一般内科医でここまで知っていてコンサルトできれば非常にかっこいいです。
総合診療かであればERやICUの関わりもあるでしょうし、ここまで知っていればどこで勤めていても多分一流の人です(『補助循環の極意教えます』の方は不要かもしれませんが)。
簡単な本をたくさん読むのもいいですが、こういう王道の本をしっかりと読み込むのもいいですよ。
この本に格闘した時間分にしっかりと応えてくれる良書です。

